suketara映画レビュー “イノセンス”

 私は,“真性アニヲタ”ではないつもりですが,“アニヲタ属性”であることは否定しません。

 ということで,3月6日公開のアニメ映画“イノセンス”を公開当日に見てまりいりました。
 http://www.innocence-movie.jp/index1.html

 結論から申しまして,“凄まじい映像”。
 セル,CG,背景画の融和した画面は,いまだかつて見たことのない衝撃の世界,独特の空間であり,ハリウッドも驚嘆するに違いないでしょう。
 原作は士郎正宗のコミック“攻殻機動隊”の1エピソード“ROBOT RONDO”。
 士郎正宗の作品は,ただでさえ注釈が多く,非常に難解です。
 さらに,監督である押井守の脚本は,くどい言い回しと引用が多く,これまた難解です。
 予備知識を蓄えてから鑑賞せねば,「映像がスゴかった」以外の感想が得られないかもしれません。

鑑賞のための予備知識:

攻殻機動隊(こうかくきどうたい)
 士郎正宗原作によるコミック。
 1989-90年“ヤングマガジン海賊版”に連載。 以後不定期連載
 1995年に押井守の手により“GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊”としてアニメ映画化。
 欧米での評価が高く,ウォシャウスキー兄弟“マトリックス”,J・キャメロン“ダークエンジェル”などに大きな影響を与えたと言われる。
 2002年にはアニメ専用チャンネル“ANIMAX”で“攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX”としてTVアニメ化。高い評価を得る。
 2004年より,続編となる“攻殻機動隊 SAC 2nd GIG”が放映中。

押井守(おしいまもる)
 不細工なおっさんながら,日本屈指のアニメ映画監督。
 20年ほど前は“うる星やつら”の監督。
 10-15年ほど前は“機動警察パトレイバー”の監督。
 コンピュータを駆使した斬新な映像と,社会の病巣を抉るような暗いテーマ設定,難解な台詞回しが特徴。

士郎正宗(しろうまさむね)
 1961年生まれ。
 同人誌出身のヲタク御用達漫画家であるが,独特かつ完成された世界観と博覧強記の説得力,“オトナ”的物語展開,比較的早期からコンピュータによる作画を取り入れるなど,様々な面でファンが多い。
 “イノセンス”に続き,4月にはデビュー作“アップルシード”がフルCG映画として公開される。 “イノセンス”同様こちらも世界配給が決定しており,今年はまさに彼の年となりそう。

鈴木敏夫(すずきとしお)
 宮崎駿作品のプロデュースで有名な辣腕プロデューサー。
 (本作品は,制作にスタジオジブリが一枚噛んでいる)
 なお,当初“攻殻機動隊2”になるはずだったタイトルを“イノセンス”に決定したのは彼だと言われる。
 徳間書店 週刊“アサヒ芸能”の記者から,1978年アニメーション雑誌“月刊アニメージュ”の創刊に参加。編集長を経て“スタジオジブリ”へ。

 そんなワケでこの映画,コミック“攻殻機動隊”,映画“GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊”,TV“攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX”あたりをチェックしてから臨むのが好ましいように思われます。

 私的には,歴史的な素晴らしい作品だと思うのですが,果たして一般受けするかは疑問です。